いつの間にかINPUTになっていたひぐち(@hgsyo76bot)です.

 2017年ジャパンオープン機ではIR,ライン,昇圧回路,キーパープログラムを担当していました.

 大会の時にキッカーで使用する昇圧回路(ソレノイド駆動回路)について質問があったので書こうと思います.

 ここで製作する装置は高電圧を発生させます.とても危険ですので,作る際には十分注意して作業を行ってください.仮にこのブログを参考に装置を作って怪我や不利益などを生じたとしても,一切の責任を負いませんのでご注意下さい.全て自己責任でお願いします.

  

 INPUTが使っていた昇圧回路は説明するまでもない簡単な構成からなります.既製品の昇圧回路を改造しただけです.

 例によってAliexpressで販売しているXL6009を使用した昇圧回路を使用しました.1個100円くらいで安い!!!(このリンクのものは10個セットになります.)

 

www.aliexpress.com

 

Amazonでも買うことができます. 






 

 この手の(中国とかで売ってるクソ安い)基板はロットによって若干異なる場合があるので注意してください.

 この昇圧回路をそのまま使用すると理論上39.13...[V]まで昇圧することが可能なのですが少し物足りないので手を加えます.

 XL6009のちょっと怪しいデータシートを見てください.このデータシートはこの青い昇圧回路モジュールのデータシートではなく"XL6009"のデータシートです.XL6009とは青い昇圧モジュールの上に載っている足の5つ生えた黒い素子のことです.


 この怪しいデータシートの「Output Switch Pin Voltage」を見ると最大60[V]まで昇圧できるものだとわかります.


 どのように昇圧する電圧を上げるのかというと,これもデータシートを見れば分かります.「Figure4.XL6009 Typical Application Circuit (Boost Converter)」の図を見ていただければ大体わかると思いますが,この回路はFB(フィードバックピン)にかかる電圧を調節することで出力する電圧を調節することができます.この回路はAliexpressやAmazonで買える青い昇圧モジュールと殆ど同じ回路です.つまり,FBピンにつながる分圧回路の抵抗値を変えてあげることで可能になります.


 分圧回路の抵抗値とはデータシートの図のR1,R2にあたります.この抵抗をデータシートにある通り


VOUT(出力電圧) = 1.25×(1+R2/R1) 

 に沿って計算し抵抗値を決めます.青い昇圧モジュールはデータシートと同じR1=1[kΩ],R2=13.8[kΩ]の抵抗ではないので注意してください.R1はチップ抵抗,R2は可変抵抗器です.抵抗値は自分で調べてください.「抵抗に書いてある型番 抵抗値」でググれば出てきます.基本的にR1の抵抗値を変更することで最大出力電圧を調節することが可能かと思います.


 ここで注意ですが青い昇圧回路モジュールの出力側の電解コンデンサが50[V]のものなのでそのまま使用する場合は出力電圧を50[V]以上にしないように設定してください.最悪コンデンサが爆発します.(そもそも青い昇圧回路モジュールが最大出力39.13...[V]で設計されているので本来いじるのは好ましくない.)


 あとは出力側に容量の大きいコンデンサとソレノイドへのスイッチング回路をつけてあげれば完成です.


 今回,INPUTは50V1000μFのコンデンサを4つ並列にしました.(でかい&重い...)


 ソレノイドへのスイッチングはリレーでやっています.オムロンのG6A-274Pというものです.小っちゃくてお気に入りです.


 図1に上記で説明した回路図を示します.汚くてごめんなさい...

 

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図1 昇圧回路の回路図

 
 LD1は昇圧の確認用LEDです.CN1にマイコンからの信号を接続します.D1はサージダイオードです.
 
 一応,中学生くらいには分かるように書いたつもりですが調べても分からないところ,間違いがあったら質問お願いします.(最後の方かなりテキトー)

 
 僕が中学の頃は使い捨てカメラの昇圧回路を使ってキッカーを駆動していました.中学の頃は知識が全然なかったので,どこから手を付けていいのか分からず他のロボカッパーのブログを読み漁ったのを覚えています.なので暇があれば他の簡単なIRとかの回路についても書こうかなと思います.ちょっとでもロボット製作,キット離れの役に立てたらうれしいです.イマドキ中学生はどうやってキッカーを駆動しているのだろう...

 


-P.S-

 上記の昇圧回路は北信越ブロックの仕様のままで,本当はジャパンオープンまでにもう少し改造して出力電圧を200[V]あたりまで上げて小型化を図ろうとしましたが時間が無かったので諦めました.


 構成としてはXL6009とコッククロフト・ウォルトン回路を使用します.


 以下に参考になるリンクを貼っておくので興味がある人は覗いてみてください.

XL6009 昇圧型 基板改造 - TENTEC 電子工作メモ帳


  あんばらはこの方法で昇圧回路を作るらしく,
「俺もTADAくんみたいに小さい昇圧回路作って売るんだーーーうへへへへぇーーwww」
(※TADAくんは販売はしていません)
みたいなことを言っていたので楽しみにしていて(?)ください笑